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G2バカの20代(不安)合宿 免許 一人参加で危うく挫折

7-2バカの20代(不安)合宿 免許 一人参加で危うく挫折



合宿免許に一人で参加

5年かかって大学を卒業した後、公園などを清掃する小さな会社でバイトしていた私は、24才の時に車の運転免許を取りました。バイト先の先輩が免許取り立てで、あまり上手ではなかったので、これなら自分も取れるのではないかと思いました。
 
教習所に普通に通うと3ヶ月ぐらいかかるので、面倒だと考えた私は、社長に許しを得て、短期間で取得できるという合宿免許に参加することにしました。
 
少しの着替えの下着とタオルや洗面用具を詰めた手提げバックで、指定された集合場所の新宿駅の南口に行くと、既に5人程の年齢のまちまちな男の人たちが待っていました。迎えに来たマイクロバスに乗って、山梨県の合宿所を併設した教習所に向かいました。
 
車中では誰もしゃべることなく無言の時間を過ごしました。合宿所に到着して、係の人から説明を受けるために一同は一室のテーブルに座りました。見ず知らずの者同士が、テーブルを挟んで向き合う間の気まずい空気が流れます。
 
耐えられなくなった私は何を血迷ったのか、「あの、お互い自己紹介しませんか?」。言ってる途中で、「自分は何をしてるんだ、余計なことを」と思いました。みな一瞬、面倒くさそうな表情をしましたが、ことわるのも悪いと思ったのか、一人ずつ簡単に名前だけ紹介することができて終わりました。
 
私にこういう悪い癖があるのです。周りが暗く沈んでいると、耐えきれなくなり自分の本性を装って、余計な気を使ってしまうところです。その場を明るくしようとした私の不自然な行為は、しらけた雰囲気を漂わせました。
 

合宿免許はこわい?

翌日から教習は、実技が2時間で、教科は時間制限なく受けることができました。
 
最初にスライド写真で車の各部の名称の説明を受け、運転シミュレーションの機械を体験してから、ようやく車に乗ることができました。
 
合宿免許といっても、一般の教習生と同じカリキュラムで、毎日2時間の実技が予約なしに確実に取れるから、結果的に短期間で終了できるようでした。
 
当時の車の教習所は、鬼のような教官(指導員)がいて、覚えの悪い生徒の頭を叩いたり、足を踏みつけるというような噂を耳にしていました。
 
その教習所の教官たちには、想像していたようなこわい指導員はいませんでした。地方の教習所では、都会からの教習生は貴重な顧客だったからでしょう。
 
50才ぐらいの男の教官で、自分の運転技術に自信があるらしく、ハンドルを大げさに回しながら、「ゆっくり回してるように見えても、初心者とは比べ物にならない速さで回してるんだからな、勘違いするなよ」と自慢していました。私には少しも速く回しているようには見えませんでしたが、驚いた振りをして、「はい」と答えました。

合宿免許は難しい?

初めて車を運転してみて、私はスピードを出すことに恐怖心があることに気づきました。
 
当時はAT限定という免許区分はなく、全員マニュアル車で免許を取ることになっていました。教習所には必ず長い直線コースがあって、ギアをトップに入れて40キロ以上加速しなければなりませんでした。
 
私はスピードを出すことが怖くて加速が十分にできず、ギアをトップに入れられず40キロで走りきることが中々できませんでした。
 
仮免許を取った後でも、教習所の出口の坂道でズズズーと大きく滑ってしまって、大勢の教習生の見ている前で、坂道発進を失敗して恥ずかしかったこともあります。
 
路上教習は、車の洪水のような都会と比べたら、小さな商店街を通過する時に少し緊張するぐらいで楽でした。
 
合宿免許が難しいと感じることがあるとすれば、実技講習を消化する工程が早いので、体と脳が追いついて行かないことがありました。脳も新しいことを理解するのに時間を要するのです。実技と実技の間を2、3日開けた方が、身に付くような実感を持ちました。
 
教習生も学校や職場を休んで来ている人が多く、いつまでもここに居られない、予定の期日までに必ず帰らなければ、というプレッシャーは一般の教習生よりは強かったはずです。

合宿免許はつらい?

合宿免許の教習自体には、実技の難しさはありましたが、特につらさを感じることはありませんでした。
 
合宿免許の教習生の中には、決められた期日内で終了できずに、一旦帰宅して改めて出直して来てる人もいました。
 
私がつらかったのは、教習以外の時間の過ごし方でした。半日以上は空き時間になります。
 
近くにゴルフの打ちっぱなしがあったので、そこで時間を潰す人もいました。近隣の観光地のお寺に遊びに行く人もありましたが、私は合宿所のベッドの中で時間を潰していました。
 
隣のベッドの人も私と同年齢ぐらいで、私のように大勢の中での人付き合いが苦手のようでした。なんとなく気があったので、夜は歩いて15分程のところにあるカラオケスナックに出かけることもありました。

合宿免許を途中でやめる?

合宿所に慣れた頃、私より前に来ていた人たちが次々に教習を終えて合宿所を去っていきます。入所した時から親切に接してくれた年下の男の子も去っていきました。
 
私を一目見るなり敵意を表すような人もいます。「どうして自分は嫌われるんだろう?初めて会った人なのに、私のことが気に入らないようだ。私の何が悪いのだろう?」
 
私は人一倍人見知りなのですが、それでも相性の合う人もあります。最初から私を毛嫌いする人ばかりでないことは、これまでも何度も経験しています。
 
私は、こんな合宿免許に来てまで、私の周りの人間関係と私自身の性格との因果関係に煩わされていました。
 
仲良くしてもらっていた人が合宿所を嬉しそうに去っていくのを見送る度に、途中でやめてしまおうかと思うこともありました。

合宿免許の女の子との出会い

合宿免許に来る女性は多くはありませんでした。私より少し後に、18才位の細身の可愛らしい女の子が入ってきました。
 
合宿所は男女の部屋はもちろん別れていましたが、お互いに出入りは自由でした。
 
ただおしゃべりをしているだけなのですが、女の子の部屋には入れ代わり立ち代わり男の人達が出入りしていました。
 
私も魔が差して、女の子が一人でいる時に訪問してみました。私も普通の男性の振りをしてみたかったのです。話してみると女の子は、男性たちにモテモテである状況を楽しんでいるようでした。
 
「自分には無理だ」。女の子との盛り上がる会話も見出すこともなく、私は自己嫌悪を感じただけでした。

合宿免許で挫折しなかった理由

根気のない私でも、なんとか仮免許も取り、教習所の試験にも合格することができました。
 
運転は決して上手ではありませんでした。スピードを出す怖さも残っていました。
 
途中で諦めそうになりましたが、挫折しなかったのは、完全な一人ぼっち、孤独ではなかったからです。
 
片言でも、挨拶程度でも、気まずくなく話をできる人が一人でもいたからです。中学時代のような完全に壁を作って孤立しなかったからです。
 
自分の欠点とか恥ずかしい部分とかをさらけ出した方が好かれる、という瞬間も経験した合宿でした。実技や学科での自分の苦手なことなどを、正直に吐露したりしたのが良かったのでしょう。