バカレキ

バカが還暦を過ぎて生きた証(あかし)がないことに焦燥感を抱いて書き記すバカのレキシ

バカが還暦を過ぎて生きた証(あかし)がないことに焦燥感を抱いて書き記すバカの歴史

G3バカの20代(迷い)就職 し て すぐ 辞める人の特徴

7-3バカの20代(迷い)就職 し て すぐ 辞める人の特徴

やりたい仕事がないフリーター

公園の清掃のアルバイトをしていても、スーツ姿の人々の出勤風景を見る度に、「このままではいけない」と思いました。
 
そうかと言って、「自分にはやりたい仕事がない」という気持ちも強かったのです。
 
20代の若者で正社員でないことは、自由と気楽さがある反面、社会の脱落者のようなイメージがありました。
 
「フリーター」という言葉は、もっと後の時代に出来た呼び方ですが、大学を出て就職しないで(正社員でなくて)アルバイトをしている私はまさしくフリータでした。
 
若い内になんとか生きていく方向性を決めなければという焦りがありました。やりたい仕事がないとはいえ、せめて正社員として就職したほうが良いという当たり前の考え方が、遅まきながら頭をもたげてきたのです。

初めての職業安定所

初めて訪れた職業安定所は、朝から大勢の人が溢れていました。
 
私は、「知っている人に会ったら嫌だな」などと、キョロキョロしながら壁に張り出されていた求人票を眺めていました。
 
予想した通り、私がやってみたくなるような仕事の求人は見当たりませんでした。分厚い求人票を束ねたファイルにも目を通しましたが同じでした。
 
世の中は、やりたい仕事だからやるのではなく、食べていくために仕方がないから仕事にありつくということが、遅まきながらわかってきました。
 
こういう浮ついた気持ちのままでいたら、一生、「自分に合った仕事はないか」と探し続けるのでしょう。

スカウトされて食事を御馳走になる

そうかと言って、ピンとくる求人がないので、この後どうしたらよいか決めかねていました。
 
新鮮な空気が吸いたくなって、外に出たところで、後ろから声をかけられました。「学生さんですか?」。スーツ姿のサラリーマン風の40才位の男の人が笑顔で立っていました。
 
「あ、いえ、卒業して1年経ちます」と私が答えると、「紹介したい仕事があるんですが、良かったら食事をしながら説明します。食事代はこちらで出しますので、どうぞ」と言われ、職業安定所の隣にあった小さなレストランに案内されました。私は食事をおごってくれることと、声をかけられたことが自分を認めてくれたように感じて、躊躇することなく付いていったのです。
 
「真面目そうな感じだったので声をかけさせてもらいました」。席に付くなり背広のポケットから名刺を出しながら、男の人は事情を説明し始めました。
 
名刺から男の人はミシンを販売する会社の係長で、職業安定所に人材を探しに来ていることがわかりました。求人を出すだけでは人が集まらず、直接声をかけているようでした。
 
私はご馳走になったカレーライスを口に運びながら、他に当てもないし、試しに入ってみても良いような気になりました。この頃でもミシンの需要は少なくなっていました。私はミシンのことなど全く興味がありませんでしたが、ご飯をおごってもらった義理と、係長のどことなく人情味のある人柄に根負けしました。

斜陽産業の営業

出社すると起立して社歌を合唱します。10人程の社員が大きな声で歌います。その後、ビルの一階にある喫茶店に降りて行き、コーヒーを飲みながら、雑談をしたり、新聞を読んだりして一息入れます。
 
二階のオフィスに戻ると、打ち合わせをします。私の最初の仕事はミシンのパンフレットに目を通すことでした。ミシンの操作方法や特徴などを頭にいれるのです。
 
二日目の仕事は、先輩に付いて行って営業のやり方を見ることでした。車で団地の中に入って行って、片っ端から飛び込み訪問するのです。私は先輩の背後から、営業トークや訪問先の家の人の対応などを観察しました。
 
ほとんどがドア越しで断られるのですが、中には応対に出てくる主婦もいましたが、暇つぶしにおしゃべりするにとどまりました。「とてもミシンが売れるような気がしない」。私は暗い気持ちになりました。
 
数日先輩に付いた後、今度は一人で団地を訪問して、ミシンのアンケートという形で関心のある人を探します。可能性のありそうなお客さんをリストアップして、次の日先輩と一緒に訪問して営業します。

入社してすぐ 辞めたい

2週間ほど営業のマネごとをしてみて、見ず知らずの人に訪問して声をかけることができたことが、自分でも意外でした。
 
ミシンを紹介して販売するという大義名分が目的としてあったから出来たのです。私が苦手な対人関係は、目的の薄い間柄でのコミュニケーションだったのだとわかりました。だから私は親戚とのコミィニケーションが苦手だったのです。
 
もしかしたら、対人恐怖症のような私には、営業の素質があるのかも知れない。そんなおとぎ話のようなことを思いながらも、自分のいるべき場所ではない予感はありました。
 
2週間の間には本社に呼ばれて、その月の新入社員として社員証のようなものを渡される儀式もありました。私は社員証を受け取りながら心の中では、「この会社にはいられないな」と思っていました。
 
私が付いた先輩は、普段着姿に阪神タイガースの野球帽をかぶって営業していました。まるで新聞の勧誘員のようです。「この会社はどうなっているのだろう?」
 
この先輩は長編小説を書いていて、将来の夢は小説家になることでした。営業の合間に先輩のアパートでお茶を御馳走になりながら、先輩の夢を聞かされました。「こういう生き方もあるんだ」。私は忘れていた、自分の夢を追いかける気持ちについて思い返しました。「自分の夢は何だろう?」
 
私は早くも会社を辞めたくなりました。

仕事をすぐ 辞める人の特徴

それから間もなく私は会社を辞めました。朝一番に出社して、事務の女性社員に辞表を手渡しました。お世話になった先輩社員や上司に顔を合わせられなかったからです。次の日、神妙な顔をした係長が私のアパートを訪ねてきました。辞めないように説得されましたが、私の決意は変わりませんでした。
 
まだ正式な入社ではない見習い期間だったとはいえ、突然辞めてしまう自分の行動が無責任に思えました。しかし、興味の持てない製品を他人に勧める仕事を続けることができませんでした。
 
こういう結果は最初からわかっていたのですが、誘ってくれた人に感じた義理、自分を試してみたいという甘えのために迷ったのです。中学生の頃と少しも成長していない自分が情けない思いでした。
 
思い返せば係長に勧誘された時、不安な気持ちしかありませんでした。新しい道、人生の岐路に立った時の選択では不安は付き物ですが、もう一つワクワクする思いがあるかどうかも必要なのではないでしょうか?ワクワク感というと大げさですが、不安とは違った何か心が惹きつけられる興味のような直感です。
 
私のように仕事をすぐ辞めてしまう人は、自分の気持ちを見極める力が弱いのではないでしょうか?自分の心の中の大事なものより、周りの事情に振り回されてしまうのです。世間体とか周りの評価より、心が感じとる直感に素直になる力です。自分の思いを大事にしない無責任さが、周囲を傷つけるのです。